
日本全国の行商人が持ち寄った商品を、日本全国の目利きが買っていく。メルカリはさしずめ、現代に現れた巨大な「市」の様相だ。メルカリがおこなった地域ごとの利用動向調査(2017年1~12月)には、市を行き交う人々の県民カラーがくっきりとあらわれていた。
まず、「売る派」か? 「買う派」か? から。売る派のトップは東京で、1人あたりの年間販売金額は5万1661円。ちなみに東京は、購入金額のランキングでも3位で、売る派というより「メルカリ大好き派」と言えそうだ。
販売金額の2位以降は大阪、兵庫、和歌山といった近畿勢が名を連ねる。ちなみにこれら「売る派」県の購入金額の順位を見てみると、大阪21位、兵庫34位、和歌山31位とからきし元気がない。
「商人の町が栄えた近畿地方の特色が出た結果となりました」
調査をおこなったメルカリはそう分析するが、意外にこれ、当たっているかも。というのも、ある大阪出身の会社員男性(43)は、これまで「売り」8件、「買い」1件の取引をメルカリでおこなったという。
「商人(あきんど)気質といいましょうか。物を売ってお金を稼ぐことに喜びを感じる面は、強くあると思います」(男性)
かたや買うほうに二の足を踏むのは、価格の幅が広いフリマサイトではけっこう起こりがちな「高値づかみ」をものすごく恐れるから。
「せっかくほしい物を手に入れても、もしそれより安く売られているのを見つけたら、喜びが全部吹っ飛んでしまう気がして。なかなか購入ボタンを押せません」(同)
ちなみにこの男性のたった1件の「買い」は、テレビのリモコン。壊れてしまったリモコンをメーカーから取り寄せようとしたものの、けっこうなお値段になることが判明。メルカリでそのリモコンを見つけ、
「お得に購入できました。はい、売上金で全額まかなったので持ち出しゼロです」(同)
一方、1人あたりの年間購入金額が多かった県、つまり「買う派」のトップには山梨県(3万2800円)が輝いた。山梨県もまた甲州商人で知られる商人の県だが、こちらは売ることより、お得に買うことの利を取ったということだろうか。