「ジューサーで作るフレッシュジュースでも、製造過程で摩擦熱が加わり、熱に弱い栄養素は失われてしまいます。コールドプレスの場合は熱が加わらず、栄養素の損失を最大限抑えることができます」(伊地知さん)
素材の新鮮さを生かすため、注文を受けてからジュースを作る。記者も飲んだが、素材のごつごつ感が残っており満腹感も感じた。ただ、胃腸には優しいものの、ボトル1本1280円(記者が飲んだ定番商品)と、財布には少し優しくない……。
いま人気のファスティング(断食)プログラムを提供する、サムライフ代表で薬剤師の坂田武士さんは、「必要な栄養素はサプリメントでと割り切るのも必要」と話す。現在の若者のライフスタイルを考えれば、1日に野菜350グラムの摂取は「現実的ではない」と言う。
「そのうち120グラムは緑黄色野菜と言われても、一般的には何をどうとればいいか理解できない。野菜といってもビタミン、ミネラルだけではなく、芋や豆類から炭水化物やタンパク質をとる必要もあります」
坂田さんが開発した6大栄養素がとれるサプリメント「シンバイオ」が働く男女の支持を集めるのには別の理由もある。
「飽食の時代なので、1日3食ではなく、1食はサプリメントなどに置き換えて、ときには胃と腸を休めることも重要なんです」(坂田さん)
野菜不足を補う野菜ジュースやサプリメント。これらに頼りきりでもいいのか。管理栄養士の園部裕美さんはこう話す。
「野菜ジュースの難点は飲みやすくするため、食物繊維が失われていることです。食物繊維には腸内環境を整える重要な役割があります。携帯しやすく、そのまま食べられて食物繊維が豊富な海苔を持ち歩き、足りない分を補うといいでしょう」
さらに、園部さんは「あくまで食事が大切」と強調する。
「必要な栄養素が取れるからとサプリメントだけを飲んでいると、消化機能や胃腸が自分は必要ないと弱まってしまいます」
野菜ジュースなどで補っていても、日々の食事が大事なのは間違いない。(編集部・澤田晃宏)
※AERA 2018年8月27日号