2016年8月18日午前7時40分、愛知県大府市の至学館大学には、早朝にもかかわらず多くの学生が集まり、土性沙羅選手の金メダル獲得に歓声を上げた (c)朝日新聞社
2016年8月18日午前7時40分、愛知県大府市の至学館大学には、早朝にもかかわらず多くの学生が集まり、土性沙羅選手の金メダル獲得に歓声を上げた (c)朝日新聞社
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 レスリングやフィギュアスケートで世界的な逸材が誕生し続ける名古屋。そこには練習拠点や指導者など環境面の充実が大きく影響している。

 レスリング女子の「総本山」とも呼べる至学館大学。2016年リオデジャネイロ五輪では、女子の日本代表の全6階級を在学生と出身者が占め、金4個、銀1個のメダルを量産した。過去4大会の累計メダル数は14個にも達する。

 練習は付属高の生徒も参加し、計7年間の一貫指導を受ける。メダリストら卒業生も加わり、ハイレベルな練習で切磋琢磨(せっさたくま)を繰り返す。

 16年には学内に2階建ての専用寮を整備。階級ごとに体重の増減量が求められる競技だけに、食事面で体調管理を支援してくれる寮母の存在も大きい。

 愛知県レスリング協会の高木善則理事長は「4年に一度、女子レスリングが脚光を浴び、世界を目指す有望選手が至学館の門をたたく」。事実、リオに出場した6人は、吉田沙保里選手の三重県をはじめ、みな県外出身者だ。「至学館中心の基盤はかたい。東京五輪でもメダリストを量産するのではないでしょうか」と高木理事長は期待する。

 創部は、前身の中京女子大時代の1989年。物心両面で周囲の理解は乏しかったが、1期生の選手が92年世界選手権の57キロ級で優勝した。96年には栄和人・現監督を付属高教諭として招請。高校にもレスリング部をつくり、いまの基礎となった。

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