車内に一歩足を踏み入れると、レトロな昭和の雰囲気がたっぷり。向かい合わせのボックスシートに4枚羽の扇風機、座席にはセンヌキだってある。
「この、古くてレトロな感じが好きです」
と、埼玉県に住む中学3年の男子生徒。キハに乗るため、朝5時に起きてやってきたという。先の鳥塚社長は、国鉄型車両の魅力をこう話す。
「国鉄型車両は全国区で、北海道から九州まで基本的に同じ車両が走っていました。ですから、30代以上の人にとっては何もかもが懐かしい。10代、20代の若者には、現代では失われつつあるものを感じられる非日常の空間なんです」
いつまで走るかもわからない今だからこそ、国鉄型車両に乗りに行こう。昭和の、そして国鉄の風景を訪ねて。(編集部・野村昌二)
※AERA 2018年5月21日号より抜粋