希望くんと一緒に自宅で過ごした最初で最後の日。礼子さんの大好きなディズニーキャラクターのぬいぐるみに囲まれた希望くんの写真を撮った。これも、礼子さんの夢だった。
生きた証もたくさん残した。2千枚以上の写真と2時間ほどの動画。 後日、 病院からもらったカルテやレントゲン写真、看護日誌。それを見ると、たった8日間なのにこれほどまで丁寧に検査や看護をしてもらっていたのだとわかった。看護師がくれた手形と足形と写真が貼られた「HAPPY BIRTHDAY」と書かれた手作りのカードは今も宝物だ。
礼子さんは、その後、赤ちゃんの死を経験した「天使ママ」たちで活動する「天使のブティック」に参加した。もう子どもは産まないと考えていたが、同じように苦しい思いを乗り越えて妊娠、出産した天使ママに会い、勇気をもらった。その後、希望くんと2つ違いで生まれた娘が描いた家族の絵には、希望くんもいた。夫婦だけでなく、娘の中にも希望くんが生き続けていた。
礼子さんは言った。
「のんちゃんには、8日間でも親にしてくれてありがとう、という気持ちでいっぱいです。あの世でのんちゃんに会ったときに、『おかあさん、がんばってきたね』と言ってもらえるように、精いっぱい生きようと思います」
その思いは丈太さんも同じだ。
「天国で再会したときに恥ずかしくないお父さんになっていることが、目標です」
希望くんが生き抜いた8日間は10年以上経った今も、家族の人生を照らし続けている。