小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)
伊藤詩織さんの勇気ある告白は多くの人の胸を打った(撮影/写真部・東川哲也)
伊藤詩織さんの勇気ある告白は多くの人の胸を打った(撮影/写真部・東川哲也)

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

【写真】勇気ある告白で人々の胸を打った伊藤詩織さん

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 アメリカの俳優アリッサ・ミラノさんのツイッターでの呼びかけで始まった#MeToo。セクハラや性暴力被害にあった女性たちが体験を語り、事の重大さを世に知らしめようという運動です。たった1週間で世界85カ国・170万件ものツイートが掲載され、今も広がり続けています。セレブリティーや要人が次々と体験を告白し、世の中を変えようとしているのです。

 被害にあっても、仕事を失うことを恐れたり、世間の偏見が怖くて誰にも言えずにいる人たちがたくさんいます。それが性暴力やセクハラだと認識すらしていないこともあります。痴漢なんてよくあることだから仕方ないとか、油断した私がいけなかったんだとか。歴とした犯罪であり、悪いのは加害者なのに。

 男をその気にさせたほうが悪い? いいえ、相手がどんな服装だろうが酒を飲んでいようが、合意なく体に触れたり、性行為を強いるほうが悪いのです。なのに被害を訴える女性を売名行為や被害妄想だと決めつける人がいます。セクハラなんか気にしないのが自立した女とか、逆手にとって世渡りするのが賢い女だと信じている女性も。それはとても、とても間違っています。そう言わなきゃやってこられなかったのなら、もうそんなこと言わなくていい世の中にしないといけないのです。

 アメリカでは大物映画プロデューサーや俳優、テレビの超有名キャスターたちが次々とセクハラで告発され、画面から消えました。日本にも隠れたワインスタインは必ずいるはずです。そこら中に。

 私も自分の体験や意見に#MeTooをつけてツイートしました。数千件ものいいねやリツイートがつきます。他の人の体験を読んでいるうちに、過去の被害に気づくことがあるかもしれません。あなたも#MeTooでツイートしてください。暴力にNOと言うのが当たり前の世の中にするのです。もう、誰も泣き寝入りしないで済むように。

AERA 2017年12月18日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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