しかし、前出の中野教授は、変わったのは民進党ではなく共産党だと明言する。

「1年前まで、共産党は『自共対決』と銘打ち、全選挙区に候補者を擁立していた。それを取り下げた背景には、野党は共闘すべしという市民の強烈な声があった。その声に、敏感に反応したのが共産党だったんです」

 野党共闘を実現させたのは、15年に全国規模で安保法制反対のうねりを作り出した草の根の市民。翌16年の参議院選挙では全ての1人区で野党候補の一本化が進んだ。勝敗は11勝21敗。負け越しはしたものの善戦し、野党共闘の可能性を示した。

 今回の選挙では、立憲民主、共産、社民の各党は選挙協力を行い、250近い小選挙区で候補者を一本化。新潟では「原発」の是非を争点に、三つの小選挙区で自公と野党の一騎打ちとなっている。

 投票まで1週間。当初、野党再編の中核を担っていた小池氏の希望の党は失速し、立憲民主党はリベラルを支持する有権者の受け皿として、存在感を大にしている。共産党は都市部を中心に組織戦を展開している。

 ただ、連日、メディアを騒がせた小池劇場の失速をあざ笑っているのは、自公政権であることは言うまでもない。(ノンフィクション作家・中原一歩)

AERA 2017年10月23日号

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