AIで学ぶ「考える読書」
かつて中学校の教員を務めていた設楽理事長は「まず、先生がチャットGPTを使いこなして、利点や欠点を見極めることです」と、チャットGPTとの共存方法を語る。
一例として、3年前、「GIGAスクール構想」で全国の小中学生にタブレット端末が配布されたとき、教育現場がかなり混乱したことを挙げた。
「先生たちから『どうやって使えばいいのかわからない』という声が上がりました。でも、子どもたちのほうが先にタブレット端末を使いこなせるようになりました。先生も勉強してだいぶ慣れてきた。今ではかなりの学校がタブレット端末を使いこなしています」
2000年度から始まった「総合的な学習の時間」もそうだった。
「この授業では教科書を用いずに、児童生徒が何か課題を決めて、調べることによって学習します。最初、先生から『教科書がないものは教えられない』と、反発があったのですが、今では学校の図書館の資料を使った『調べ学習』や『探究学習』が定着しています」
そこでチャットGPTを使えば、簡単に調べものをすることができる。
「重要なのは、チャットGPTが書いたことは本当のことなのか、考えながら読む力です。なので、チャットGPTは批判的思考力(クリティカル・シンキング)を子どもたちに身につけさせるための道具として利用できるのではないかと期待しています」
「考える読書」。これは青少年読書感想文全国コンクール入賞作品集のタイトルでもある。それほど設楽理事長らは考えながら読むことを重要視している。
「考えながら本を読み、自分の内面と対話する。読書感想文はそれを人に伝えるものです。『総合的な学習の時間』は読書感想文を書く過程と似ています。そこで大切なのは資料をきちんと読みとく力や、その内容に自分の考えを織り込んで他の人に伝える力です。そのような力を培うという観点で読書感想文コンクールにチャレンジしていただければ、と思います」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)