フィギュアスケートの羽生結弦(ゆづる)が、カナダ・トロントで練習を公開した。リラックスした笑顔と自信に満ちた言葉があふれ、冗談を交える余裕があった。
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いつも通り礼儀正しく何度も頭を下げながら、羽生結弦(22)は報道陣の前に姿を現した。8月8、9の両日、拠点としているカナダ・トロントのクリケット・クラブで練習を公開。夏の明るい日差しが窓から差し込むリンクで、充実した夏を過ごす様子を取材した。
来年の平昌(ピョンチャン)五輪(韓国)で、男子シングル66年ぶりとなる連覇を狙う羽生。リンクに降りて少し滑るとすぐに4回転ジャンプを跳び、回りきって着氷。4回転トーループ─3回転トーループのコンビネーションでは3回転で両手を上げた。4回転ループでは着氷がやや乱れ1歩踏み出すこともあったが、それ以上に多く成功ジャンプをみせた。
●4回転の8割は成功
公開練習を通じて、4回転ジャンプの成功率はおおよそ8割といったところか。体が温まり切っていない段階でも跳んだことを踏まえると、かなりの成功率だ。状態の良さを感じさせる内容だった。
2日間で公開した練習は計3セッション。最初のセッションでは、4回転トーループ─1回転ループ─3回転サルコウの3連続ジャンプで転倒があったが、その後はしっかり修正。プログラムを通して滑りながら、美しくスムーズに決めた。
今季のフリースケーティング(FS)も初披露した。平安時代の陰陽師・安倍晴明をテーマにした映画「陰陽師」の音楽を使った「SEIMEI」。世界歴代最高得点を2度塗り替えた2015~16年シーズンに使用した曲だ。今季はショートプログラム(SP)も、過去に演じたショパン作曲の「バラード第1番」だと明らかにしている。
●世界最高を超えないと
プログラムはアレンジされているのか。羽生の答えは、
「ショパンもSEIMEIも何もいじっていない状況です」
SP、FSで共に過去のプログラムを再演することは珍しいが、羽生は、
「また(同じ曲か)と思わせないような演技にしたい。プレッシャーはない。むしろ大丈夫っていう自信と、このプログラムに関しては、呼吸の仕方とか、何より自分でいられる。滑っていてすごく心地いい。同じプログラムだけど、違うこと、一歩先のことをやっている」
と、選択の理由を説明し、自信をみせた。15年12月のグランプリ(GP)ファイナルで出した合計330.43点という世界最高点を超えられるかと聞かれると、
「はい。はい。はい。超えないと」