都議を7期務め、今期で引退する内田氏の後継者として、自民党は公募で選んだ新顔の中村彩氏(27)を擁立。小池氏が塾長を務める政治塾「希望の塾」の元塾生だっただけに、反小池色を強く演出する「宣戦布告」的な候補者選びとなった。
これに対して小池氏は、国会議員時代、事務所に手伝いに来ていた経験がある新顔の樋口高顕氏(34)を立候補させる。元警視総監で現在はミャンマー大使を務める父を持つ樋口氏も、希望の塾の塾生。新顔2人による「代理戦争」となった千代田区の1議席は、無所属の須賀和男氏(61)を加えた三つどもえの争いになる見通しだ。
麹町駅から北東に少し入ると、新旧のマンションが立ち並ぶ住宅地。その一つに20年以上暮らす無職の女性(57)は、小池氏に大きな期待を示した。
「政治なんて誰がやっても変わらないと思っていた。でも、小池さんが知事になってから、もしかしたら、と思うようになった。女性は男性とは感性も考え方も違うから、男性社会における価値観を打ち破る意味でも、小池さんには頑張ってほしい」
定期的にお茶会を開いている同年代の女性5~6人も小池氏を応援していると言い、
「都知事選でみせた小池人気はいまも健在です」
と話す。
●小池氏の求心力に陰り
ただ、期待感だけで人気を集めた都知事選とは異なり、今回は小池都政そのものの是非が問われる選挙でもある。
各種の世論調査によると、就任当初80%台だった小池知事の支持率は70%台まで下がり、依然として人気はあるものの、その求心力には陰りも見える。知事の実績をめぐっては厳しい声も出始めた。
東京五輪競技会場の見直しや築地市場豊洲移転をめぐり、
「迷走した感が否めない」
と語るのは、退職後の生活を麹町で送る男性(73)。過去の都知事選や都議選では実績を重視して自民党に投票してきたが、
「今回は、政策を聞いて冷静に判断したい」
と話す。