今年3月、入間市議選で初当選した細田智也さんはトランスジェンダーだ。立候補の裏にあった思いとは? 本人に話を聞いた。
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半年前まで、政治家なんて全然ピンときませんでした。議員の家族も親戚もいない。けれどトランスジェンダーであることを公表し選挙活動すれば、「こんな人が入間市にいる」と知られる契機になる。当落は関係なく立候補を決めたんです。
大学在学中に乳腺切除・卵巣摘出の手術をし、改名と戸籍の性別変更をしました。卒業後は臨床検査技師として地方の公立病院で勤めた後、2016年11月に退職して関心のあった性感染症の勉強をしようと学会にアクセスしやすい地元へ戻りました。
私は恵まれていたと思います。男性として生きられ、好きな職種にも就けた。セクシュアリティーに悩む小中学生に自分の姿を見せ、未来を描いてほしい。帰郷して、教育現場で体験談を話すことで役に立てないかと市役所に問い合わせると、LGBTの理解促進に関心のある民進党市議から返事が来ました。いろいろと話す中で、「行政の力ならLGBTを広く周知できる。選挙に出ないか」と勧められたのが立候補のきっかけになりました。
当選する自信はありませんでした。私はシャイで、選挙期間も前半は自転車で回るだけで精いっぱい。街頭演説もできなかった。でも支援者の応援演説後ならマイクを握れるようになり、握手を求められることも増え、手ごたえを感じました。