「周囲に知り合いがいなければ、何か伝えたいときに自分から動かなければなりません。語学力を鍛えるのはもちろんですが、厳しい環境に身を置くことで、生徒は自立します」
生徒はどうだったのか。「最初は英語が通じなくてつらい思いもしました」と3年の井上聖陽さん。だが先がある。「自分から仕掛けて楽しんでやろうと思いました」。取り組んだのは留学先のNZを巡る格安旅行企画。クラスの仲間に声をかけ、ツアーを実現させた。
向上させた語学力と社会・文化への関心もその後に生かしている。例えば「協働ゼミ」だ。
毎年約15テーマが設定され、中には大学やNPOと連携し活動するゼミもある。「アフリカゼミ」はその一つ。16年には慶應義塾大学SFCと立ち上げた、コンゴ民主共和国に小学校を作るプロジェクトに参加。コンゴにも出かけて、現地の子どもたちと歌やダンスをして一緒に遊んだ。別の「地域活性ゼミ」は、地元商店街活性化のため、外国人観光客向けの英語パンフレットなどを作成している。土屋教頭も手応えがある。
「留学やゼミでは、成功体験ばかりでなく挫折も味わいます。その経験がより生徒をたくましく成長させています」(ライター・柿崎明子)
※AERA 2017年6月5日号

