前触れもなく東京にやってくる義母に頭を悩ませているのは、東京に住むOさん(女性・35)だ。義母は東京観光をしたがるが一人で電車には乗れないし、「布団が寝にくい」と夫ではなくOさんにクレームが入る。夫には苦情をどんなにやんわりと言っても、必ず喧嘩になるので文句を言うのをやめたという。

「夫からの愛情は感じるし、友だちのように仲がいい。でも、義母との関係は違う」(Oさん)

 義母への不満と小言の多い夫への不満が折り重なり、日常生活における夫の言動ひとつひとつにいらだち始める。今ほしいのは、自由になれる自分だけのスペースだ。

「義母はちょっと縁のある、でも他人です」

 と言うのは、旧家の長男に嫁入りをしたKさん(女性・47)だ。結婚してすぐ義親と一緒に暮らし始めるといびりが始まった。何もしないと怒られて、何をしても怒られるので、

「気に入らないなら今後一切家には立ち入りません」

 と言って離婚を覚悟で夫の実家を出たら夫もついてきたという。以来、夫の親の家には足を踏み入れていない。

 前出の筒井教授は、1千人アンケートを見てこう指摘する。

「親と同居をすると夫婦仲は悪くなる。政府は子育て支援に3世代同居を活用しようとしているが、同居はストレスがたまってかえって夫婦関係が悪くなるのではないか」

●自立意識は中高年も

 博報堂生活総合研究所の夏山さんは、結婚がうまくいくかを左右するのは「自立意識」があるかどうかだと断言する。

「当研究所の『生活定点』調査などをみると、夫婦といえども、結婚生活は個人対個人の活動だと意識している人が増えているんです」(夏山さん)

 博報堂生活総合研究所の60歳から74歳を対象にした「シルバー調査」によれば、夫婦で共通の趣味を持ちたいという人は年々減っていたりと、自立意識は若い世代のみならず、長年連れ添った夫婦間でも求められているという。また60代からが再出発の時だと感じている人も多い。

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