筆者も試してみた。「ジューシーそぼろと野菜のビビンバ」と「小ねぎとのり、豆腐の韓国風スープ」。1番人気のキットだ。ビビンバに入るニンジンや肉そぼろ、温泉たまごは調理・カット済みだが、ニラや小松菜などには自分で包丁を入れる。ごはんも炊く。レシピは「すごろく」のように進み、主菜の調理の途中に副菜の豆腐を切る作業が割り込んでくる。17分25秒で完成。子どもも食べる想定の味つけなので、筆者はアレンジしてコチュジャンを足した。うまい。フライパンや鍋を片付けながら、「手づくりした感」も味わった。

 家事の「外注」でゆとりが生まれることはわかった。でも、お高いのでは? それが昨今、そうでもないらしい。

「ハウスキーパー1時間1500円」。業界最安値を打ち出し、話題となったのが「タスカジ」。ウェブ上で利用者と家事代行者をつなぐ、「マッチングプラットフォーム」だ。

●利用者が指導係担う

 使い方は簡単。最寄り駅から検索すると、自宅に来訪可能なハウスキーパーの一覧が表示される。そこで顔写真付きのプロフィルを確認。既にサービスを受けた利用者から「お料理が上手」「大雑把だけど、いろんなことをやってくれる」などとレビューも読める。価格(1時間あたり1500~2600円)もここでチェック。最後に、頼みたい人の空き状況を見て、リクエスト送信し、予約が成立すれば、最短で72時間後、ハウスキーパーが玄関先にやってくるというわけだ。

 関東・関西エリアでサービスを開始した14年から依頼者は増え続け、現在は約8500人、登録ハウスキーパーは400人を超えた。依頼者の9割が30~40代の共働き子育て家庭だ。

 とはいえ、個人間の契約だ。不安はないのか。「タスカジ」は最大1億円の損害補償やサポートセンターなどの環境を整えつつ、ハウスキーパーと依頼者の双方に身分証明書の提出を必須とし、ハウスキーパーには面接、家事の実地テストを経た人だけが登録できる仕組みにしている。

 利用者が良いレビューを書けば、ハウスキーパーの励みになり、今後の新規契約時の報酬アップにつながる。定期的な利用者は、より自分好みの家事を提供してもらえるように細かくレビューを書く。いわば利用者が指導係の役割を担い、ハウスキーパーも高評価を得ようと切磋琢磨する。会社としては教育コストが浮き、安価なサービス提供が実現する。

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