街が完成する予定の2024年には新駅の乗車数は1日12万~13万人、山手線だと恵比寿、五反田並みの規模になると見込む。

 神奈川県東部に鉄道2路線を保有する相模鉄道(相鉄)。JR、東急と相互直通運転を行う予定だ。05年に作られた「都市鉄道等利便増進法」の適用を受け、路線建設費用の3分の2を国と自治体(神奈川県、横浜市)が負担。都心部への距離が縮まり横浜駅での乗り換えが不要になることで、都心部への通勤時間は10~15分縮まる。

●蒲蒲線に都心直結線

 相鉄は1976年から99年にかけ全通したいずみ野線(二俣川─湘南台)沿線に様々なニュータウンを開発したが、高齢化がすすみ鉄道利用者も少なくなっていた。直通運転によりまずは両親が沿線に住んでいる若年層を都心から相鉄沿線に引き戻したい、と相鉄ホールディングス経営戦略室の鈴木昭彦さんはいう。二俣川駅(横浜市旭区)前に建設中のマンション「グレーシアタワー二俣川」は8月27日に第1期380戸を売り出したところ約2週間でほぼ完売。沿線外からの申し込みも20%に達し、「これまでにないペースの売れ行き」(鈴木さん)という。

 首都圏での鉄道新設計画はこれにとどまらない。今年4月に出された国土交通省交通政策審議会答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では整備を検討すべきプロジェクトとして、(1)りんかい線や山手線方面から羽田空港へつなぐアクセス線(2)東急蒲田駅と京急蒲田駅をつなぎ新宿、渋谷方面から羽田へのアクセスをよくする通称「蒲蒲線」(3)押上~新東京~泉岳寺を結ぶ「都心直結線」(4)つくばエクスプレスの東京延伸(5)都営大江戸線延伸……など24路線がとりあげられている。

 鉄道が町づくりに与えるインパクトは路線建設にとどまらないと語るのは、東京藝術大学准教授で建築家の藤村龍至さんだ。

「2000年代以降に鉄道各社が商業と結びつき、鉄道の役割は人を運ぶだけではなく人を集めて商機を作り出すというパワフルなものに変化してきました」

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