首都圏などでは小中学受験が盛んだが、日本の小中学生の9割超は公立校で学んでいる。21世紀型教育も、公立にどう広げていくかが課題だ。注目の分野で一歩先を行く学校を取材した。
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男の子が熱心に見つめる黒板には、「たのしい学校」「大きい学校」という板書がある。
「じゃあ、教室にはどんな言葉がつくだろう?」
先生が尋ねると、男の子は自信なさそうに答える。
「長い?」
「長いとはあまり言わないかな」
「大きい?」
「それもいいけど、もう一つ言い方があるね。広い教室。広いってわかる?」
マンツーマンで授業を受けているのは、今年5月にミャンマーから来日したばかりの小5のマウンズェくん。日本語は全くしゃべれなかったが、短期間でひらがなとカタカナをマスターし、漢字を覚えるまでになった。
●外国籍などの子が2割
京浜工業地帯に位置する横浜市鶴見区の市立潮田小学校。ここには、マウンズェくんのように外国籍や二重国籍などの子どもたち130人近くが通う。全校児童のじつに2割にのぼり、子どもたちが関わりを持つ国はブラジル、ボリビア、フィリピンなど16カ国とバラエティーに富んでいる。
同校で多国籍化が進むきっかけとなったのは、1990年の出入国管理法の改正だった。海外で暮らす日系人に、日本で働ける道が広がり、工業地帯の鶴見区にも仕事を求めて外国からの移住者が増えた。
20年以上が経ち、両親に連れられて日本にやってくる子もいれば、定住した両親の間に日本で生まれた子どもも多くなってきた。だが、いくら日本に長く住んでも、家では親の母国語で話すため、日本語はあまりできないという子もいる。
そんな子どもたちは、クラスメートと同じ授業に出席せず、別室で日本語や各教科の授業を受けることができる。横浜市内にはこうした国際教室が80の小中学校にあり、潮田小に設置されている国際教室では7人のスタッフが指導にあたっている。授業を行うだけではなく、時には学校で配布する行事のお知らせの翻訳や、入学時に必要なものを書いた冊子作り、三者面談の通訳などの保護者対応に追われることも。カバーする範囲は幅広い。