「添加物を複合摂取しても、有害な影響は出ません。指定添加物であれば使用目的通りに使えば問題ない。組み合わせた場合の安全性がはっきりしないのは、添加物よりむしろ食品そのもの。食品は摂取重量が添加物と比べてはるかに大きいし、食品の組成には謎が多い。グレープフルーツジュースや納豆など、相互作用して薬の効果に悪影響が出ることが確認されているものもあるので、食べないよう医師に指導される食品もあります」

●初期の動物実験の精度

 だが、例えば人工甘味料のサッカリンは、かつて発がん性の疑いありと主張されたが、その後安全性が再確認されている。このような例があるため、消費者の中には「やはり発がん性リスクがあるのではないか」と心配になる人も多い。

 これについては、実験の精度の問題もあると畝山さんは指摘する。発がん性をみる長期の実験が可能になったのは、ネズミを長期飼育できる技術が整った60年代。そこで初めて添加物の毒性を調べたが、当時は実験も手探りで、現在は最大投与量がエサの5%の添加物を、大量投与した場合もあったという。

「そういう初期の実験で発がん性が指摘され、危険なイメージがついたケースがあります。2011年の食品安全委員会のリスク評価では、ラットの試験で見られた発がん性はヒトには当てはまらないとしています」(畝山さん)

 健康被害とまではいかなくても、添加物を多く含むお菓子類を食べて、舌がピリピリするなど、味覚に異変をきたしたように感じる人もいるだろう。前出の安部さんはこう指摘する。

「添加物は日本人の味覚と価値観を破壊した。その結果、『塩分』『油分』『糖分』を過剰摂取するようになったのが問題。特に子どものうちからコンビニ弁当やファストフード、スナック菓子などをおいしいと感じるようになってしまうと、野菜や天然だしなど食物本来のおいしさがわからなくなる。子どもの肥満や生活習慣病の予備軍が問題になっているが、これらも添加物と無縁ではないでしょう」

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