食品添加物になんとなく嫌なイメージを持っている人は多いはず。健康被害や味覚障害などを起こすのではないかと心配になる。ただ、正しい知識を持てばそれほど恐れるものではないのだ。
コンビニやデパ地下、スーパーで手軽に購入できるお弁当やお総菜。原材料表示にはコメや野菜、肉や魚などに加えて調味料や多種多様の添加物が記載されている。化学に詳しい理系出身者ならいざ知らず、見慣れないカタカナや画数の多い漢字の羅列を見ると、何となく不安に駆られがちだ。イメージではなく、科学的な裏付けから本当の食の安全を考察した。
日本で食品に加えることができるのは、食品衛生法第10条に基づき厚生労働大臣が指定した指定添加物449品目。天然由来もあれば、化学合成添加物もあるが、いずれも厳しい実験を繰り返し、基準量以下なら有害な影響が出ないことが確認されている。
用途は保存、強化、乳化、着色、殺菌、漂白、増粘安定など。日本食品添加物協会によれば、保存料(ソルビン酸など)の目的は、カビや細菌などの発育を抑制し、食品の保存性をよくすること。増粘安定剤(ペクチンなど)は食品に滑らかな感じや粘り気を与え、分離を防止して安定性を向上させるのが目的だ。
●毎日一生でも無害
このほか、広く使用され、長い食経験があるものは、例外的に使用、販売が認められており、365品目が既存添加物として名簿に登載されている。なじみ深い粗製海水塩化マグネシウム(にがり)や、最近健康食品ではやりのグルコサミンやヒアルロン酸も、この範疇だ。
さらに、バニラなど動植物から得られる天然香料、果汁や寒天などの一般飲食物添加物もある。これらを総称していわゆる食品添加物といい、全て厚労省のホームページで確認できる。指定添加物以外は、全て天然由来だが、天然だから安全というわけではない。
そもそも1995年の食品衛生法改正で、国は添加物の概念をより安全側に舵を切り、それまでの「合成」と「天然」から、「安全」と「食経験」に分類を見直した。科学的に安全性を確認した化学的合成添加物をベースに、法改正以降は新たに申請される化合添加物と天然由来添加物も「指定」の範疇に加えた。