夫婦の寝室の隣の和室は襖で隔てることで、ときどき避難して熟睡可能(写真:佐川旭建築研究所提供)
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 部屋の間取りの中で、重要な場所のひとつが寝室。快適な夫婦生活を送るためには、どのような寝室がいいのだろうか。夫婦の声などをもとに、寝室のあり方を探った。

 プライベートな場である寝室には、夫婦のあり方と関係性が反映されやすい。高校生男子の部屋に布団を敷いて寝る妻がいれば、リビングのソファで寝る夫も……。余分な部屋はないが、夫婦別室を切望する苦肉の策だ。今回の取材では、寝室は夫婦別々という家庭も多かった。

「いびきがうるさいし、冷房のオン、オフ合戦で熟睡できない」(30代・看護師)「深夜の帰宅や、トイレに行くときの音で起こされるのが嫌」(50代・専業主婦)と、妻サイドは怒り気味に語る。一方の夫たちは、「妻の希望で……」(40代・ファイナンシャルプランナー)「幼稚園の息子が妻を返してくれない」(30代・商社勤務)と、少しせつない。

 1級建築士で『住まいの思考図鑑』などの著書もある間取り博士の佐川旭さんは、夫婦の寝室についてこう話す。

「完全に別の部屋にしなくても、二つの部屋が共有の間でつながっていたり、簡易に仕切ることでも適度な距離感は保てます。仲が良くても熟睡のために必要なケースもありますが、完全な夫婦別室の間取りは、海外からは非常に驚かれますね。韓国のテレビ局から本当かと取材されたこともあるぐらいです」

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