「専門職では聞く・読む・話す・書くの総合的な力が要求されます。事務系では読み書きの力が重要です」(同)
実際、企業では英語力があるかどうかが、キャリアの大きな柱になってきている。
「派遣の求人で英語力を求められる場合の目安は、TOEIC650点以上。英語が使えると、職種が広がり、他の人ができないような責任ある仕事を担当できるので、契約社員から正社員への道も開けると思います」
●1日8時間で3万円
子育ての経験を生かすなら、園児や小学生を教える児童英語講師も最適だ。
都内に住む女性(42)は大学時代に短期留学した後、企業の事務職に就いたが、決められた仕事をこなすだけの毎日に物足りなさを感じていた。30代のころは子どもが欲しくて不妊治療にも取り組んだが、あきらめたころ、児童英語講師の職に出合った。小学校の児童を教えるクラスを複数受け持っている。
最初に教えた小学3年の男児は、クラスで大暴れして手に負えなかった。子どもに安心感を持ってもらえるよう心理面をケアしながら、会話や英検受験のサポートに取り組む毎日は、「日々学ぶことだらけ」。講師になって6年が経過した今、子どもの成長ぶりをじかに感じられるのがなによりの楽しみになった。
外国人観光客の増加に伴い、通訳案内士も需要の多い仕事だ。
個人旅行客を案内する30代後半の遠藤文乃さんは、2007年に国家試験で資格を得て、ガイドを続けている。
日本観光通訳協会(JGA)によるとガイド料金の相場は旅行会社との契約の有無によって異なるが、個人旅行では1日8時間で3万円ほど。
遠藤さんは先日、ある家族を東京・秋葉原に案内し、メイドカフェに連れていった。
「おいしくなる呪文をとなえましょう」
オムライスにケチャップをかけて、メイドの格好をしたウエートレスが呪文をとなえると、一家は大喜び。
「最近はアニメなどサブカルチャーへの興味が強い人が多い。英語力はもちろん、日本の社会や文化について、自分の引き出しをどれだけ豊かにするかが、毎日の仕事。体力も相当使うけれど、面白くてやめられません」
遠藤さんはいま、大学の文学部に編入して、改めて日本の伝統のみならずポップカルチャーや文化史を学び直している。
※AERA 2014年8月25日号