働き始めると体調は戻り、朝倉さんは毎日生き生きと暮らすようになった。今の年収は400万円。最初は働くことに難色を示していた夫も今では、
「うちの奥さんは海外出張にも行くんだ」
と友達に自慢している。最近は進んで家事もするように。
朝倉さんの現在の目標は、「将来、国際会議を進行できるようになる」こと。実際、働き始めると、「現場の英語」は、これまで座学で習ってきた英語とまったく違った。国際会議に参加したときは、内容が聞きとれず、趣旨を質問したり、会議の音声を何度も聞き直したり。ちゃんと話せなかったことを後からメールでわびることもあった。
「英語力の足りなさを痛感します。もっと頑張らなければ」
業務の合間に英語のインプットを続ける。
●正社員への道も開ける
こうした英語力を生かせる仕事としては、たとえば、メーカー、商社をはじめ企業での英文事務がある。必要とされるスキルは書類作成や会話だ。海外営業事務は、これに契約書の作成も加わる。英語に加え、貿易や為替の知識があれば貿易事務、経理の専門知識があるなら英文経理という仕事もある。そのほか、秘書や受付も企業で英語を使う機会が比較的多い。
英会話スクールのほか、英語力を強みとするキャリアサポートを行うECCでも、主婦が語学力を生かして派遣されるケースが増えている。右のグラフのように、英検1級合格者に占める主婦の割合は約1割と、高い語学力を持つ人も多い。
ECC外語事業部本部によると、英語の職を探すには、「グローバルビジネスを手がける企業、個人での開業、訪日外国人をもてなすビジネス」がキーワードだという。外資系、商社、貿易会社はこうした海外ビジネスを手がける典型企業だが、
「将来的に海外で利益をあげようとしている中小企業や個人商店など多岐にわたる。そうした需要を掘り起こすのもひとつの方法」(同本部)
では、現場ではどんな英語力が必要なのか。