結婚や出産で一回仕事を辞めてしまうと、女性が再就職するのはなかなか難しい昨今のご時世。
でも、TOEIC高得点の実績や英語資格などがあれば話は別だ。
英語で道を切り開いた主婦たちに続こう。(ライター・斉藤真紀子)
家電の業界団体に勤める、30代後半の朝倉薫さんはロンドンのホテルに飛び込みこう尋ねた。
“I would like to reserve a conference room for 10 people. Could you also arrange lunch?”(10人入れる会議室を予約したいのですが。ランチもアレンジしていただけますか?)
急な手配で心がざわめくが、表情は明るい。
「英語のおかげで、心が躍るようなやりがいのある仕事ができる。相手と通じ合ったときの喜びは何物にも代えがたいです」
●夫も家事でサポート
主婦だった朝倉さんがこの仕事に就いて、今年で2年目。国内で開催する国際会議や、シンポジウムなどで来日する海外ゲストの対応、会議のアシスタントのほか、海外情報のまとめや翻訳、海外出張のアレンジなど、仕事は多岐にわたる。
短大を卒業した後、就職した愛知県の企業では、主にパソコンを使った事務的な仕事で英語を使う機会はまったくなかった。6年勤めた後、結婚を機に辞め、東京に引っ越すと、体調を崩した。外出もままならず、就職活動もできない毎日が続いた。
そんなとき思いついたのが、英語だった。
「双子の姉が英語が堪能だったのに刺激を受けて。自分に専門的な職能がないのでリスクヘッジをしなければと思ったんです。珍しい仕事ができそうという期待もありました」
主婦、ときどき派遣の仕事をしながら、8年間英語を勉強。TOEICの得点も320点から680点に上がった。通訳案内士をめざして、午前中は専門学校の講義を受け、午後は自習。週に1度英会話サークルに通い、会話力を磨いた。そうしているうちに、勉強仲間のつてで「英語ができる人を探している」という情報が入り、面接を受けて、今の職場に採用された。