●ヤンセンファーマ


業務の軽減も上司の判断で

 小國薫さん(42)は、米・デューク大学にMBA留学中に、サマーインターンとして働いた製薬会社で病気に苦しむ人々の現状を知り、薬の力で間接的にでもよりよい人生を送る手助けができればと、その製薬会社に転職した。その後ヤンセンファーマに転職。
 ヤンセンファーマはジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門。日本のヤンセンファーマの管理職比率は約19%。20年の30%達成を目標としている。多様性を重視する外資系企業では、・ダイバーシティー・の指すところは性別だけではない。人種、年齢、さまざまな経験などの要素も含んでいる。
「私は製薬業界での経験が4年。部下のほうが経験も長く知識も多い。100%完璧にしなければいけないと思わずに、まずはやってみようと思っています」
 産休からは3カ月で復帰した。チームが担当する新製品の発売時期だったため、仕事から離れたくなかった。産休中も会社のパソコンでメールを確認し、復帰に備えた。
「仕事と子育てを両立できているのは、周りのサポートがあるから。チームのプロジェクトがうまくいったり、目の前のことをやり遂げたとき、日々の小さな喜びを感じます」
 人事本部長の坂口繁子さんによれば個々の事例を柔軟に扱えるよう、上司に大きく権限が委譲されている。勤務時間や業務を軽減でき、設定した範囲で成果を出せれば、評価が不利になることはない。

■女性管理職を支援する各社の取り組み

[帝人]
自社・他社問わず女性先輩社員とのディスカッションの場を設けている。新卒のうち30%以上女性を採用するノルマを設定するなど数値目標を掲げ、取り組みを始めてから10年ほどで女性管理職が20人から120人に。

[カルビー]
2011年から全従業員対象のキャリア支援部会設立、トップとのダイバーシティー座談会やキャリアインタビュー、女性限定のキャリアセミナー(13年は全社員対象)、ロールモデル紹介などのメルマガを発行。

[日本IBM]
係長職前の女性を対象とした「ネクスト・ステップ・セミナー」、昇進意欲向上のための女性管理職者対象セミナー、海外の女性経営幹部との「ラウンド・テーブル」など開催。役員がスポンサーになりメンタリングを強化。

[グンゼ]
2012年から社長直轄の「女性きらきらプロジェクト」を発足、数値目標を掲げて活動。キャリア形成に迷いやすい若手女性社員を先輩女性社員がフォローするメンタリング制度、女性リーダー研修の実施など。

[西友]
パート社員を正社員マネジャーへ積極的に登用。また女性上級管理職と各部門のボランティアで構成される「女性リーダーカウンシル」が中心となり、各事業拠点でのヒアリングセッションや経営陣への提言を実施。

[NTTコミュニケーションズ]
本年度から、リーダーを目指した行動計画、専門性を生かした成長計画を立てる「次世代女性リーダープログラム」を開始。管理職手前の社員に向け、半年間に6回、論理的思考などを講義や実践で演習。

[資生堂]
男女公平採用・均等な扱いを徹底。子育てをしながらキャリアアップできるよう企業内大学「エコール資生堂」のeラーニング研修プログラムなどで支援。2014年現在女性管理職は26.8%と、数年以内に30%に届く見通し。

AERA  2014年7月7日号

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