今、業務の効率化のために「脱長時間労働」を掲げる企業は多い。この成否のカギを握るのは管理職で、率先してその姿勢を見せることなどが求められる。また脱長時間労働において、業務の効率化を図るのも、管理職には欠かせない重要な役割だ。
毎月第2金曜に従業員約900人が午後5時45分の定時に上がる「全社一斉リフレッシュデー」を実施している、JTB関東(本社・さいたま市)。法人営業両毛支店(栃木県足利市)の教育事業チームマネージャー、松井実さん(45)はスピード、シェア、スマイル――この三つのSをキーワードに、働き方の見直しを進めた。
「マニュアルの共有化でスピードを上げる。個々人の仕事をシェアして時間を作り、最終的に心の底から笑顔で仕事をしようと目標を定めました」
教育事業チームは全部で7人。地元の中学・高校の修学旅行を担当するが、漠然と残業を続けてきた。ワークライフバランスの取り組みを開始したのは昨年10月。同チームは松井さんを中心に、「残業をなくそう」と、働き方の見直しに取り組んだ。
もっとも成果を上げたのが「付箋会議」と呼ばれる手法だ。会議の時、チームの各人が抱えている課題を付箋に書き出し、ホワイトボードに貼っていく。それらを「保護者説明会の実施」「学校へのモデルコースの提案」「宿泊先の部屋割りの提案」などのカテゴリーごとに分類、議論して結論づけていくのだ。そうすることで頭の中がスッキリし、全員で課題を共有できるようになった。会議もスピードアップし、時短につながった。試行錯誤の途上だが、今後さらに月1回「リフレッシュデー」を増やし、月2回にする予定だと
いう。
「労働時間短縮で生まれたライフの時間が自分たちの肥やしとなり、それがまた仕事に生かせるような働き方を目指したい」(松井さん)
※AERA 2013年9月16日号