リクルートエグゼクティブエージェントエグゼクティブコンサルタント森本千賀子(43)20代から「突き抜けた実績を上げ、自分のブランドをつくること」を意識して働いてきた。他の社員が嫌がるタフネス企業の営業担当に名乗りを上げ、実績を上げたことも。近著に『女性管理職のFAQ』(撮影/品田裕美)
リクルートエグゼクティブエージェント
エグゼクティブコンサルタント
森本千賀子(43)

20代から「突き抜けた実績を上げ、自分のブランドをつくること」を意識して働いてきた。他の社員が嫌がるタフネス企業の営業担当に名乗りを上げ、実績を上げたことも。近著に『女性管理職のFAQ』(撮影/品田裕美)
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 女にとって野心は諸刃の剣だ。日本では元来、女は男を立てるもの、とされてきた。だが今、林真理子が著した『野心のすすめ』が、43万部と驚異的な売れ行きだ。女たちは「野心」に目覚め始めたのだ。

 リクルートエグゼクティブエージェントでコンサルタントを務める森本千賀子(43)もこの本を読み、納得した。

「野心や大志は私の人生のテーマ。野心はギラギラした印象でネガティブにとらえられがちだけど、野心があるメリットのほうが多いと思う」

 森本は28歳の時に、会社の役員会議にレポートを提出した。

「私にしかできない業務に集中するために専属のアシスタントを付けてください」

 入社1年目から社内で営業成績MVPを取った。周囲から見れば、もう十分な活躍だったが、彼女は違った。

「お客様のすべての期待に応えるためのアウトプットをしたい。そのためには、やり方も考え方も転換しなければ。私がきっかけとなって、社内全体に普及し、体制を改善できればと思ったんです」

 彼女がトライアルになり、アシスタント制を導入、会社から課された2倍以上の成績を出すという目標もクリアした。結果、社内全体に改良された形で制度が広がった。常に意識しているのは、自分のための野心ではなく、周囲や会社全体、ひいては社会全体のためになるか、だ。

 33歳で第1子を出産後、会社に掛け合って営業企画のポジションをつくった。出産後、女性は会社に対して遠慮しがちになり、キャリアアップを諦める傾向がある。営業の一線は無理でも、働く環境を整えたポジションさえ作れば女性も会社に貢献できる。森本は自らワークスタイルをつくることで、後輩女性たちにも子育てしながら成長できる姿を示したいと思った。(文中敬称略)

AERA  2013年8月12-19日号