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 いよいよ始まった学生の就職活動。今年の就活では、ある傾向が強まっていると専門家は話す。

「人気企業は昨年以上にターゲット採用の傾向を強める、とはっきり言い切れます」

 就職事情に詳しいHRプロの寺澤康介社長は言う。

 ターゲット採用とは、企業が特定の大学に狙いを定めて重点的に採用活動をすること。旧帝国大学の北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州や、早稲田、慶應義塾といった私大を「ターゲット大学」にして、採用を働きかける。

 就活期間が短くなれば、採用担当者も膨大な学生のなかから選ぶ時間を割くことが難しくなる。その点、ターゲット採用ならば最低限、優秀な学生を確保できるという「安全策」だ。

 そこでアエラは、主要な60大学の学生がどれぐらい人気企業に就職しているかを把握すべく、教育関連情報を提供する「大学通信」の協力を得て、学生に人気が高い100社への就職者数を調べた。

 ターゲットになったのは、やはり早稲田と慶應だ。特に1大学で100人超の採用をするメガバンクや、損保・生保、電機メーカーでは、他の大学を圧倒している。学生に特に人気の伊藤忠商事や三菱商事などの商社や、電通や博報堂といった広告会社は、東京、京都と早慶の4大学に照準を合わせているのが一目瞭然だ。

 ただ、早稲田より学生数の少ない慶應が、金融や商社で前年以上に「強さ」を見せた。一因には早稲田の「AO入学がある」と寺澤さんは指摘する。

受験生を囲い込むためにAOで多く入学させたものの、受験科目を減らしたことで入試のハードルを下げた。その学生を避けたい採用担当者は多いんです」

AERA 2012年12月17日号