これまで国際系学部の志願者数は急激に増加。国際系学部は募集人員がそもそも少ないところが多いため難化しており、立教大異文化コミュニケーション学部や法政大グローバル教養学部は早慶並みの難易度とも言われてきた。
石原部長は分析する。
「数字に受験生の現実主義的な面が出ています。国際系は英語授業を行ったり、留学が必須になっていたりするなどカリキュラムが濃くて魅力的な分、授業についていくのが大変。安易に進学すると進級できないことも少なくありません。そうした厳しさも受験生には見えてきたのでしょう」
今年は経済・経営・商学系の人気も落ちている。明治大経営学部が前年比68.7%、商学部も83.5%、法政大経済学部が69.8%と大きな減少が目立つ。
減少の要因として、石原部長は「今後の経済の先行きに対する不安がある」と見る。米中貿易摩擦やイラン情勢、イギリスのEU離脱など世界情勢が緊迫するようなニュースが相次いだ。加えて、国内でも消費増税や台風など自然災害の影響などが懸念され、東京オリンピック後にはいよいよ景気が後退するという見方が強い。
「新型コロナウイルスの影響が長引く可能性もある。そうなれば、経済・経営・商学系だけではなく、観光系でも大きく志望者が減る。この分野の不人気はしばらく続く可能性がある。他方、理工系や資格取得系など就職に直結する分野に志望者が集まると見ています」(石原部長)
かつては「つぶしが利く学部」といわれた法学部も人気にかげりが出ている。中央大法学部で104.3%と増加したが、青山学院大法学部で99.7%と微減したほか、上智大、明治大、立教大、法政大、学習院大の各法学部で前年比10%以上の志願者減だった。
法学部といえば、弁護士や公務員などを目指す学生が多く、優秀な人材が多いため企業からの人気も高かった。しかし、司法試験改革により弁護士の数が増加。高収入が保証される職業ではなくなった分、若い世代には魅力が薄れている。また、政治家に忖度する官僚のイメージが強まった公務員も同様だ。