社会保障制度に明るく、政策通として知られる衆院議員の加藤勝信氏。9月発足の第4次安倍再改造内閣で、2度目の厚生労働相に就任した。今回は働き方改革担当相も兼任だ。語り口にも熱がこもる。
「現在、子育て支援など現役世代への支援も充実させる『全世代型社会保障』の実現が掲げられています。私も国会議員になって16年。社会保障に関心を持って、積極的に関わってきました。いまは、まさに新たな時代に向けた社会保障制度をつくり始めた時期だといえます」
今後、超高齢化社会を迎え、働き方や福祉のあり方も変わらざるを得ない。
「人生100年時代の高齢期については、健康作りや疾病予防を通じて、より元気で暮らしていける状況をつくっていきたい。以前は60歳、いまは65歳が一つの区切りですが、そこを超えても働きたい、働けるという方がたくさんおられる。人生設計は多様化しており、2020年はそれに応じた環境づくりがスタートする1年になると思います」
加藤氏は内閣官房副長官だった14年、初代の内閣人事局長に就いた。森友・加計学園問題から現在の「桜を見る会」疑惑に至るまで、公文書の不適切な取り扱いが後を絶たない。文書の改ざんや廃棄を巡って、官僚が官邸の意向を忖度(そんたく)したのではないかと言われてきた。内閣人事局を創設し、官邸が省庁の幹部人事を握ったことで官僚機構が委縮したとの見方もある。
初代局長としてどう考えるか。
「国政全体を見ずに省益を中心に考える『省あって国なし』ということが盛んに言われ、改革の必要性に迫られたわけです。やはり選挙を経て、国会の場で選ばれた総理が政治の方向性を示していくというのが民主主義。それに則ってスタートした人事システムなのです。国政がどちらに向かおうとしているのか、各省庁が理解をしながら仕事するのは当然のことです。ただ、結論に至るまでは情報提供を行い、時に意見を言うことも大事です。そして、決まったことに対しては、一致して頑張っていかなければなりません」