経営者の30代女性は、「自分の祖父母に対する思いが経営のきっかけにつながった」と語る。
「私の祖父母は仲が良かったのですが、祖母が亡くなったとたん、祖父は家に引きこもりがちになってしまいました。その様子を見て、昔のようにおしゃれをして外に出るきっかけを与えられるサービスがあればいいなと思ったんです」
現在の利用客は月に20人程度。一緒に食事をしてほしいという要望が特に多く、最近はリピーターも増えているという。
「お問い合わせいただいたお客様から電話で悩み相談を受けることもたくさんあります。やはりどの方も、自分の話を聞いてほしいんですよね。今後もヒアリングに力を入れて役立てれば」
こうしたサービスは、全国的にまだまだ希少だ。坂爪さんは、高齢者が負い目を感じないように、今後は性的支援の場にも「ユマニチュード」の視点が必要だと語る。
「ユマニチュードとは、フランス語で『人間らしさ』という意味。周りの家族や介護者などが、高齢者の性を『自然な欲求』として認めてあげる視点を、もっと広げていきたいです」
(ライター・澤田憲)
※週刊朝日 2019年8月30日号より抜粋
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