「虫垂は右の下腹部にありますが、最初の痛みはおなかの真ん中に出ることが多い。放置していると、痛みがだんだん右下に移動してきます。その段階になるとすでに腹膜に発症が及んでいる可能性が高い。痛みが右下腹部に移動したら、我慢せずに受診を」(生坂さん)

 特に、いつも胃の調子が悪く、シクシクと痛む人はこうした兆候を見逃しやすい。いつもの痛みだと思ったら急性虫垂炎だったということもあるので、要注意だ。

■飲食の8時間~1日後に腹部の激痛、吐き気、発熱→急性膵炎

 激しい腹痛は急性膵炎や腸閉塞でも起こる。

 急性膵炎は膵臓が分泌する消化酵素が自身の膵臓の組織を壊していく病気で、男性では飲みすぎが、女性や高齢者では尿路結石が原因になりやすい。飲食後、しばらくたってから激しい痛みや吐き気などが出たら危険だ。

 腸閉塞は何らかの原因で腸の通りが悪くなった状態。腸の蠕動(ぜんどう)運動が激しくなり強い痛みが起こる。腸のねじれが原因の場合、放っておくと腸が壊死するので、緊急手術が必要になる。

【がんの痛み】

 小川さんは、過去に腕の痛みから肺がんを発見した経験がある。

「左の首から腕にかけて痛いという訴えで来られた患者さんで、問診するとわきの下から小指にかけて痛みが徐々に強くなるという特徴的な症状があったので、念のため胸のX線を撮ったのです。そうしたらがんが見つかりました。縦隔(じゅうかく)腫瘍でした」(小川さん)

 縦隔とは、肺と肺の間に挟まれた食道や気管が通る部分。その上部にがんができると腕に行く神経が圧迫され、その神経が支配するわきの下から小指にかけて痛みやしびれが出るという。

 がんの初期は無症状といわれるが、「実は、がん患者さんの約3割が痛みをきっかけに受診し、がんが見つかっている」と打ち明けるのは、がん性疼痛治療の第一人者で、JR東京総合病院(東京都渋谷区)名誉院長の花岡一雄さんだ。

 がんが痛みをもたらす理由について、花岡さんは次のように説明する。

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