「がんがある程度の大きさになると、内臓や皮膚、骨などを圧迫し、知覚神経を刺激するので痛みが生じるのです。また、がんによって組織が損傷して炎症が起こる。これも痛みの原因になります」

 がんが大きくなったことで臓器の機能を妨げ、痛みをもたらすことも。例えば、大腸がんのため便が通りにくくなり腸閉塞を起こす、などだ。

 痛みが起こる代表的ながんは、骨肉腫。骨にある骨膜には知覚神経が密集しているため、骨ががんに侵されれば強い痛みが表れる。もちろん、がんの骨転移でも痛みが出る。ほかにも、胃がんや子宮頸がん、肝がん、肺がん、膵臓がんも進行がんになると痛みが出やすい。

 脳腫瘍も頭痛を伴う。腫瘍によって脳圧が高まるためだ。頭を体と同じ高さにしていると脳圧がさらに上がって痛みが増すことがある。夜中や朝起きたときに頭痛がひどくなるという状態が続くようなら、念のため診てもらったほうがいいかもしれない。

「ただ、痛みをきっかけにがんが見つかる場合、初期でないこともあります」と花岡さん。検診の重要性を訴える。

「少なくとも、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんの5大がんに関しては、発見にはがん検診が有用です。5大がん以外では痛みもきっかけにはなりますが、どちらかというと血尿や不正出血、体重減少など、痛み以外の症状で気づくことが多いのです」

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年8月9日号

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