「大動脈瘤破裂を起こしやすいのは、男性が70代、女性が80代。胸部CTを撮れば瘤の存在はわかりますし、破裂前に予防的な治療をすることもできます。60歳になったら一度は胸部CTを撮ったほうがいいでしょう」(山本さん)

【腰痛】
■腹部の張りの後に生じる腹から背中の激痛→腹部大動脈瘤破裂

 慢性の腰痛持ちだった男性(75)は、農作業中に腰痛が悪化したため、近くの整形外科へ。変形性腰椎症と診断されて痛み止めを処方された。だが、翌日になっても腰痛は治まるどころか強まるばかり。腹にも痛みが出始めたため、大学病院を受診した。

 担当した新井さんが診察台に横になった男性のおなかを触診すると、コブのような膨らみがあり脈を打っていた。腹部CTで確認すると、腹部大動脈瘤だった。

 瘤は胸部からつながる腹部の大動脈にできることもある。腹部大動脈瘤が破裂すると、激烈な痛みが腰からおなかにかけて生じる。その前兆として、おなかの張りや背中の鈍痛を感じることもある。この段階でも非常に危険な状態ではあるが、受診して治療を受ければ、大事に至らなくてすむ可能性がある。

「腹部に丸い膨らみがあって、手を当てるとドクドクと動いていたら、腹部大動脈瘤かもしれない。一度、病院で診てもらってください」(新井さん)

■片側の手足のまひやしびれを伴う腰痛→神経の根元の圧迫

 腰の痛みに加えて、まひやしびれがあったら、神経の根元が圧迫されている恐れがある。圧迫の原因はさまざまで、脊椎の圧迫骨折や腫瘍などが考えられるという。

「48時間以内に手術をして神経の圧迫をとることで、まひなどの症状が改善する可能性が高くなります。夜間でも休日でも医療機関を受診したほうがいいでしょう」(八重樫さん)

【腹痛】
■へそやみぞおちの痛みが右下の腹部に移動→急性虫垂炎

 いわゆる盲腸のことだが、進行して炎症で腫れた虫垂が破裂すると、内容物が漏れて「急性腹膜炎」を起こす。腹膜とは胃腸や肝臓などを覆っている膜のこと。破裂してばらまかれた内容物には細菌なども含まれており、それらが分泌する毒素が腹膜から血管に吸収され、血液で全身に回ってしまう。これは敗血症という状態で、すぐに手術をしないと命に関わる。

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