ある女性は言った。
「妊娠中絶そのものを後悔はしてない。ただ私が中絶後ずっと苦しんでいるのは、安全な中絶が選べず、ひどく屈辱的に恐ろしい思いをした体験そのものなのです」
また別の女性は、妊娠がわかりすぐに病院に行ったが「(掻爬には)早すぎる」と言われ、3週間待たされた経験を話してくれた。薬があれば、あんな3週間を過ごさなくてよかった。そもそも緊急避妊薬をすぐ飲める環境だったら、あんな目にあわなかったと、彼女は泣いた。
いったいこの国は何なんだ。日本の医療は世界一! 世界なんて関係ねぇ! 女性は入試で差別して、女の選択どうでもいい! 守り抜こうよ、オレの地位と名誉、金も! そんな歌が頭から流れてくる。ふざけんな。
女だから、受けている暴力。いったい人生で何度、私たちはこの悔しさに向き合わなければいけないのか。
※週刊朝日 2019年7月5日号