■猫「あるある」を再現
猫の「あるある」なしぐさや行動を再現し、猫好きの心をくすぐりまくっているのがターリン・インターナショナルの猫シリーズだ。あげたごはんを「これじゃないの」と言わんばかりに見上げる様子を再現した「きまぐれ猫ごはん」、広げたノートパソコンにわざわざ乗ってくる「テレワーク じゃま猫」……やるやる! あるある!
開発を担当しているのは企画開発課の島本典子さん。同社は「シルバニアファミリー」で知られるエポック社のカプセルトイ事業部から派生した新会社で、島本さんはエポック社時代から開発に関わってきた。
島本さん自身も猫好きで、これまでにも「猫の毛づくろい」シリーズなど、ヒット商品を生み出している。
「『猫の毛づくろい』は猫が後ろ脚の指の股を開いてなめる様子や、前脚をガシガシ噛んでいるときの表情などにこだわりました。サンプルが上がってきたときに『普段、見慣れている猫と違うな』と感じたら何度も練り直します。ニュアンスまで伝わらないと、猫好きの方の心に訴えかけられないんです」
月に8~10タイトルほど出る新商品中、2割は猫関連。あえてデフォルメや擬人化をせず、リアルな猫のしぐさを追求しているのには大きな理由もある。
「実は前社の社長が、かなりの愛猫家なんです」
島本さんも社長と商品化会議の席で「そのしぐさ、やりますよね!」と猫談議をすることもままあったそうだ。最新作の「歩く猫」は、挑戦だった。
「実はただ歩いている、という姿を作ってなかった。一周回って『猫ってやっぱり歩いている姿が美しい!』と開発しました」
かかとのあがり具合やピンと伸びた尻尾のリアルさがたまらない。
「この2年でこれまでにないほどカプセルトイ専門店も製造会社も増えています。やはりコロナ禍が大きいですね。対面販売の必要がなく、商業施設内のよい場所に専門店が入ることも増えた。購買層も60代まで広がり、6割は女性です」
以前は10社ほどだったガチャ製造会社も、近年は40社ほどに増えたという。
「そのなかで選ばれるためにも、今後も猫好きの『あるある』心をくすぐる開発を目指します」