■完成までに2年半
猫ガチャ界で根強い人気を誇るのがキタンクラブの「はしもとみお 猫の彫刻」だ。写実的かつ愛らしい動物彫刻でコアなファンを持つ彫刻家・はしもとみおさんの世界を忠実に再現した。
「彫刻のタッチを再現するために何度もサンプルを作って調整し、完成までに2年半ほどかかったと聞いています」
と広報担当・齊藤二紀さん(27)は話す。キタンクラブといえば、12年に発売され、累計出荷数2000万個の大ヒット作となった「コップのフチ子」で知られる業界の雄だ。そんな同社も実は「猫まみれ」らしい。毎月5~8点開発される新商品のうち1点は必ず「猫商品」だ。
■猫が使用感をチェック
「弊社では、主宰の古屋大貴をはじめ、社員19人のうち半数以上が猫を飼っています。企画も普段、猫と触れあっているなかで思いつく、ということが多いようです」(齊藤さん)
同社の猫商品最大のヒットは累計出荷数600万個を記録した15年発売の「ねこのかぶりもの」。フィギュア系ではなく猫も飼い主も楽しめる「実用性」を狙った。その最新版が「マジカルステッキねこじゃらし」。
社員の猫のほか、猫カフェの猫たちにモニターとして協力してもらい素材や音への反応をテスト。猫が喜ぶものを、と開発した。
「古屋いわく『猫は存在そのものがアート』。今後もアーティストとのコラボや猫が喜ぶ実用的な商品を開発します」(齊藤さん)
猫=アートが待つガチャの世界へ、コインを握りしめて、さあ今日もゆかん。
※「NyAERA 2023」から掲載
ライター 中村千晶