


有名俳優やセレブが集う米アカデミー賞の授賞式。今年は2月24日(現地時間)にあり、レディー・ガガらがレッドカーペットを歩く中、一人の小柄な女性にも注目が集まった。その人こそ近藤麻理恵さん(34)だ。
【ネットフリックスが配信している「KonMari~人生がときめく片づけの魔法~」の一場面はこちら】
あでやかな淡いピンクのドレスをまとって登場すると、アカデミー賞公式ツイッターはジョークを交えてこう歓迎した。
「ゲストのみなさん、レッドカーペットを整頓してきれいにしておいてください。マリエ・コンドウがいま到着しました」
人気と知名度の高さを物語るエピソードだ。そのきっかけとなったのが2010年に出した著書『人生がときめく片づけの魔法』。“一度片づけたら絶対に元に戻らない方法”を紹介するとのふれ込みで、米国を含め世界約40カ国で出版され、シリーズ累計1100万部を突破している。
今年1月からは、世界最大の動画配信サービス「ネットフリックス」のオリジナルシリーズ「KonMari(こんまり)~人生がときめく片づけの魔法~」が190カ国で配信されている。
モノがあふれかえるアメリカの家を舞台に、片づけに悩む家主に極意を伝える内容だ。日本語を通訳してもらい、身ぶり手ぶりを交えて、相手に明るく話しかけていく。近藤さんは単に片づけを教えるだけでなく、家主の気持ちも前向きにさせる。
日本向けには2月にオンラインサロン「人生がときめく片づけの魔法研究室」を開設。ネットを通じて本人によるレクチャーが受けられ、会員の交流の場となっている。
「片づけはマインドが9割」と説明し、モノの整理整頓にとどまらず、人生にとって本当に必要な「ときめく」モノだけを残すという考え方を強調している。
「こんまり」の愛称で呼ばれる近藤さんは、16年にアメリカへ移住。今は2児の母として子育てしながら、「こんまり流片づけコンサルタント」を育成している。
コンサルタントは世界30カ国以上で約300人が活動。日本では約60人が個人レッスンやセミナーをしている。
新井真理子さん(60)はブラジル在住で、日本に来た際に都内のセミナーを受講した。ブラジルでもこんまりは人気で、日本に来たついでに受けたという。
「高齢の母に遺言状とまでは言いませんが、エンディングノートを書くようにすすめました。その時、私も自分の子どもたちが困らないように、モノの処分を始めたほうがいいかなと思ったのです」
生前整理の必要性を感じた新井さんにとって、「ときめく」モノだけ残すのは納得できる片づけ術だった。年を取るほど思い出の品は増えていくが、すべて引き継ぐのは難しい。大事なのは、自分や家族の心の中に何を残せるかだという。
「終活ブーム」もあって、早めに身辺整理をする高齢者は増えている。読者にも何を残し、どう片づけるか悩んでいる人が多いはずだ。こんまり流を学ぶことで、生前整理もスムーズにできる。(本誌・岩下明日香)
※週刊朝日 2019年4月19日号より抜粋