「野球やゴルフ、卓球など、用具を握ってプレーする競技で見られる症状です。スイングした際にグリップエンドが手のひらに強く当たり、その負荷で受傷することはよく見られます」

 今回の骨折で開幕は絶望となったが、ルーキーイヤーだった昨季も限局性腹膜炎を患って開幕1軍を逃している。体格から頑健そうに見えるが、長く清宮を追っているノンフィクションライターの柳川悠二氏はこう語る。

「体が強いというイメージはないですね。清宮はこれまでに右手親指の骨挫傷や右ひじの炎症などで離脱したこともあり、中学時代には腰をケガしています。早稲田実時代からは徹底的に管理して、体のケアは人一倍入念に行っているはずですが、好事魔多しということなのか……」

 清宮はオープン戦で好結果を残し、成長のあとも見えていたという。

「苦手としていた左投手の変化球もさばけるようになりつつあると感じていただけに残念。ただ、まだ2年目。たとえば同じ高卒ドラフト1位の先輩である中田翔に比べても、ここまでのキャリアは順調と言えます。選手生命を考えれば、球団も完治するまでは無理させないでしょう」(柳川氏)

 復帰はシーズン前半戦中と見込まれている。“けがの功名”と思わせる大暴れを期待したい。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2019年3月22日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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