東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
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開幕ローテーション入りが難しくなった中日松坂 (c)朝日新聞社
開幕ローテーション入りが難しくなった中日松坂 (c)朝日新聞社

 中日の松坂大輔選手が故障していることを理由とともに公表し、ファンを中心にその是非が問われている。西武ライオンズ監督時代に松坂選手とともに戦った東尾修氏が、選手の心情を代弁する。

【開幕ローテーション入りが難しくなった中日の松坂選手】

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 中日の松坂大輔がファンと接触した際に古傷の右肩に違和感を覚えたという。診断結果は右肩の炎症。2月はノースロー期間となって開幕ローテーション入りは非常に厳しくなり、しばらく時間がかかりそうだという報道が届いた。

 このニュースは、読者のみなさんもご存じだろう。「ファンがけしからん」「本人の自己管理が足りない」「球団の警備態勢が甘かった」など、意見はさまざまある。しかし、起きてしまったことに対して犯人捜しをしても始まらない。本人はしっかりと治すこと、ファンの方々は選手へ少しだけ思いやりを傾けること、球団は警備態勢などのリスクマネジメントを確認すること。次への防止策をそれぞれの立場で考えることしかない。

 ただ、なぜ大輔と球団がファンとの接触による故障を公表したのか、ということは考えてあげてほしい。ファンあってのプロ野球だし、誰よりも大輔はそれをわかっている選手である。横浜高から西武に入団した1年目のキャンプから大勢に取り囲まれ、身の危険を感じたことは1度や2度じゃないはずだし、それでもサインに応じるなど、可能な限り接してきた。その大輔が、公表した。断腸の思いだったはずだ。再発防止という、ただそれだけを願って、故障の原因を公表したのだろう。西武時代に監督として見てきた私は、ファンを誰よりも大切にする選手であることをわかっている。だからこそ「ファンのせいにするな!」との怒りはどうか静めてあげてほしい。

 今、大輔ができることは右肩が使えない分、下半身も含めて、しっかりと鍛えることである。鍛えるといっても、ベテランであればあるほど、休息をとりながらやる必要はあるし、時間がかかる。自主トレ期間がさらに延長されたと思って、前向きに取り組んでもらいたい。下半身がしっかり動ける状態であれば、スローイングメニューが入ってきても、スムーズに移行できるはずだ。

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