プロ野球もオープン戦の時期に入ってきた。若い選手は「内容」とそれに伴う「結果」が求められる。ここまで紅白戦などで数多くチャンスをもらってきただろうし、首脳陣からいろいろなアドバイスをもらって頭の中が混乱している選手もいるだろう。ただ、もう一度このキャンプで自分が何をやってきたか、何を体現しようとしてきたかを見つめ直して実戦に向かってほしい。目先の結果を追うと「信念」を見失いがちになる。

 選手個々の調整とともに注目するのはチームとしての取り組みである。昨季下位に沈んだチームは、オープン戦で勝っていく中で、自信を深めていく。新監督であれば、自分のやりたい野球をチームとして体現できるかどうか。戦術を局面、局面で試し、選手にどれだけ浸透しているかなどを確認することになる。

 今は映像が簡単に手に入る時代で、同一リーグ球団相手に新戦力を「隠す」ことの効果は薄れているが、それでも、実際に対戦したことがあるかどうかは、公式戦で初対戦の時には大きなものとなる。どうしても開幕から好スタートを切ってもらいたい新戦力なら、極力隠したほうがいい。そういった点にも注目したい。

週刊朝日  2019年3月8日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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