請求できるのは、相続税の納付期限から5年以内。故人が亡くなった翌日から5年10カ月以内だ。
佐藤税理士は、「完璧に申告できるケースのほうがむしろ少ない印象です。相談を受けた事例のうち7割くらいのケースで戻ってきます」と話す。その額は、数十万円から多い時には5千万円にも上ることがあったという。
払いすぎが見つかることが多いのが不動産が絡む事例。評価に差が生じやすく、納税額が大きい人は専門の税理士らに相談しよう。
Q4:借金も相続しないとダメ?
A:故人の借金が財産よりもずっと多そうな時には、「相続放棄」を選ぶことができる。相続に関する全ての権利や義務がなくなる。
亡くなってから3カ月以内に家庭裁判所に申請する。いったん相続放棄すると原則として撤回できないので、財産の状況を調べてよく考えてから行う。
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」という方法もある。ただ、相続放棄が遺族一人ひとりの判断で選ぶことができるのに対し、限定承認は相続人全員の合意が必要だ。やはり3カ月以内に家庭裁判所に申請する。
判断がつかない場合は、「熟慮期間の伸長」を家庭裁判所に申し立てることもできる。何もせず3カ月をすぎると、自動的に借金を含め全部を引き継ぐ「単純承認」となってしまう。
Q5:クレジットカードの「隠れ負債」とは?
A:クレジットカードは、早めに解約しないと、予想外の借金を背負うことになる。故人もはっきりと認識しないまま、リボルビング払いになっているケースがあるためだ。
負債はないと思って単純承認したのに、後から多額の「隠れ負債」がわかる恐れもある。故人がカードを複数持ち、多額の買い物をしていた場合は、要チェックだ。
「いったん遺産を分け合った後に、リボ払いやキャッシングが見つかることも。死後3カ月後でも相続放棄が認められることもありますが、期限内に申請するのに比べて条件が厳しくなってしまいます。クレジットカードは早めに解約しておきましょう」(司法書士の石井一明氏)