鹿児島市の成年後見センター。各自治体で相談窓口を設けている (c)朝日新聞社
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財布に入っているクレジットカード。死後は早めに解約しておこう
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 家族の死後、さまざまな手続きに戸惑うことになるが、多くの人にとって鬼門となるのが相続にまつわるもの。とくに悩ましい相続税の軽減や借金の相続に関する疑問を、Q&A形式でまとめたので参考にしてほしい。

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Q1:税務署はどんなところを見ているの?

A:「担当官は預金口座の動きをよくチェックしています。遺産額が大きい人は目をつけられやすいので、申告漏れがないか確認しておきましょう」(佐藤和基税理士)

 税務署の担当者は、保険会社への支払いや、株式の配当の振り込みなども調べ、資産内容を把握する。

「故人の口座だけでなく、妻や子どもら相続人の口座の動きとも突き合わせて、申告漏れがないかチェックしています」(同)

 税務調査が入るのは、相続税の申告件数の4分の1以上になるとされる。申告していなくても調査が入るケースもあり、後から説明できるように財産の一覧など資料を備えておく。

Q2:相続税を軽減する方法は?

A:佐藤税理士は、生前に比較的手軽にできることとして、贈与と生命保険をすすめる。

 年間の贈与額が相手1人当たり110万円以下なら、基本的に非課税だ。毎年少しずつ、妻や子、孫らに与えれば、大きな資産を引き継ぐことができる。

 ただ、亡くなる前3年以内の贈与分については、相続税の課税対象になるため、早いうちから始める必要がある。

「後から税務署の指摘を受けないようにするため、相手方には贈与したことをきちんと伝え、お金の管理も任せる」(同)

 生命保険や損害保険は、受け取った保険金のうち法定相続人1人当たり500万円まで非課税となる。遺産分割の方法が決まる前に受け取れるメリットもある。

 資産価値が現金よりも低く評価される不動産も、節税対策として活用されている。現金がたくさんある人は、不動産投資を検討することもできる。ただしリスクもあるので慎重に。

Q3:払いすぎた相続税はどうなる?

A:納付後に払いすぎたことがわかれば、返してもらえる。「更正の請求」という手続きで、税務署が認めてくれれば戻ってくる。

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