10月25日に迫ったプロ野球ドラフト会議の目玉といえば、大阪桐蔭の根尾昂と金足農の吉田輝星だ。
根尾について、「流しのブルペンキャッチャー」ことスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏は「格が違う」と絶賛。U18アジア選手権でも根尾だけが甲子園大会とテンションが変わらなかったという。「粒ぞろいだった大阪桐蔭でも選手の手本となった。身体能力の高さだけでなく、チームの雰囲気づくりも任せられる」(安倍氏)。関係者によると、巨人、中日など4球団からの1位指名は堅いとみられており、安倍氏は「巨人の原辰徳新監督はカリスマ性やオーラのある選手を好むでしょう」と語る。中日であれば、岐阜出身の“地元”スター選手として、観客動員にプラスに働くはずだ。
一方の吉田だが、元スカウトの日野茂氏は「他の高校生ドラフト候補の投手に比べてもワンランク上。大きな故障をせずに投げられる体を持っている」と評価。プロ入り後の吉田の活躍を占うのは、キャンプインまでの過ごし方のようだ。
「体のメンテナンスをきっちりし、トレーニングをこなし、2月のキャンプに間に合わせる。指名した球団がきっちり計画を立てるでしょうが、キャンプをきちっと過ごせないようだったら、即戦力としての起用は無理」(日野氏)
吉田の直球は折り紙付き。課題は変化球か。西武やダイエーで活躍した石毛宏典氏はこう指摘する。
「変化球を投げるときのフォームが緩む。プロに入って修正できるでしょうけど、スプリットのような、フォームがストレートと変わらない変化球を覚えたらいいかもしれない」
前出の安倍氏は「プロのスライダーは曲がるストレート。曲げようとして投げている現状では通用しないでしょう」と辛口だ。
だが、あの実直な姿は、ファンの心をつかむ。石毛氏は言う。
「彼は正直でいいよ。ゲーム中に『疲れた』とか『俺もう投げられない』と言えるところが。純粋で素直な野球青年の感じが、直球にも表れている」
2人の運命はいかに。(本誌・大塚淳史)
※週刊朝日 2018年10月26日号