若者が声を潜めた。
「よくUFOが飛来します」
「はぁ、UFOが。聖徳太子は宇宙人だったとか、そういう話ですかねぇ」
教え子の表情が変わった。
「そういうレベルでUFOを語らないでほしいですね。UFOというのは……」
狂乱の宴は深夜まで続いた。翌朝、荷物を持って受付に行くと、何事もなかったように老人が座っていた。
「では、気をつけて……」
支払いを済ませて車のキーを回した。すると、いきなりクラクションが鳴り出して止まらなくなってしまった。クラクションはいつまでも谷間に木霊し続けた。
大センセイ、何者かに見られているような気がして、ゾクッと鳥肌が立った。
※週刊朝日 2018年7月27日号