「となると、話は早い。半年で制度改定までこぎつけました」

 内容は太陽生命と同じで、「65歳定年、70歳まで再雇用」。正社員や契約社員、パート・アルバイトを含めた約8万人が対象で、待遇も60歳までと変わらない給料が支払われる。

 高橋チームリーダーによると、同社では対象人数が少なかったことが制度を導入できた一つのポイントという。

「60歳になる社員は毎年50人程度です。導入時に再雇用されていて、社員に戻す必要がある人も30人程度でした。人数が多いと企業負担も増えるので、厳しかったかもしれません」

 また、ファスナー・建材大手のYKKは、65歳まで段階的に定年を引き上げ中。「65歳超」は制度としてはないが、実際は数十人が65歳を過ぎても再雇用されている。

「当社は材料から製造設備、製品に至るまでの一貫生産体制による事業展開を行っており、部品加工もしています。そうした部門で卓越した技術や技能を持つ社員を中心に再雇用しています」(人事部の堤直紀企画・管理グループ長)

 同社は今世紀に入ってから、人事・賃金制度の改革に取り組んできた。特に07年から「役割」を重視する成果・実力主義を取り入れ、仕事の「役割」と実力の発揮度合いで給料などの処遇が決まるシステムになっている。

「年齢は一切、関係がありません。役割を遂行できる実力が継続的に発揮できるのであれば、年齢にかかわらず会社はその実力にふさわしい処遇をし、活躍していただくことを望みます」(同)

 このように、「もともと年功序列的処遇が薄まっている会社」も「65歳超」を進めている企業の特徴といえそうだ。

 大和ハウスの菊岡部長が、

「昇進・昇格については年功要素はほとんどありません」

 と言えば、すかいらーくの高橋チームリーダーも、

「今世紀に入ったころから、年齢給という概念がなくなりました」

 当然だろう。賃金一つとっても、年功序列をひきずったままでは定年延長さえ難しくなる。

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