出向先企業の条件は、経営が安定していて本人のキャリアが生かせ、原則65歳以上まで勤務可能、など5条件。ちゃんと「65歳超」が視野に入っている。
「求人が出てきたら、社内で候補者を探します。面談で相性が合えば話を進めます。出向先でうまくいっていることが確認でき、相手企業が希望すれば転籍を勧めていく流れです」
毎年50~80人が出向しており、10年間で約500人に上っている。改めて集計したところ、今年65歳になる人を含めると26人が65歳以降も同じ企業で働き続ける。DSPでの経歴を見ると、ほとんどが管理職経験者だ。
元工務部長の穴蔵道正さん(68)は、その一人。空調設備会社に59歳で出向した。「6~7年で完成させてほしい」と言われた技術者の育成システムをわずか1年で作り終える有能ぶりだったが、体調や家庭の事情で今は常勤はしていない。ただし、会社に請われてアドバイザリー契約を結んでおり、求めがあればそのつど技術指導をする日々だ。
「社会に恩返しができればいいと思っているので、満足しています」
やり方はいろいろだが、高齢者を活用する仕組みを整えることが日本経済を活性化させる一つのポイントだろう。人口減少のスピードを考えると、待ったなしである。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2018年7月20日号