西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「食養生」。
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【ポイント】
(1)健脳につながる食養生とはどんなものか
(2)魚介類に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸
(3)歓喜わきあがる晩酌と刺し身の相乗効果
養生の中心に置かれるのが食養生です。前のシリーズで取り上げた貝原益軒の養生訓でも、8巻のうち2巻が飲食に関するもので、食養生に重きが置かれています。健脳を考えた時も、食べ物が重要になってくるのは間違いないでしょう。
西洋医学からのアプローチでも、食が脳に与える影響がわかってきています。キーワードは抗炎症作用です。n-3系不飽和脂肪酸を摂取すると脳内で抗炎症作用を発揮します。その作用により神経細胞死を抑制し、神経の再生を促進するのです。
つまり、n-3系不飽和脂肪酸の摂取が健脳につながる食養生ということになります。
そこで注目されるのが、n-3系不飽和脂肪酸を多く含む魚介類です。魚介類が認知症を予防するという報告は少なくありません。魚介類に多く含まれるn-3系不飽和脂肪酸にはEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)があります。これを多く含む魚を、含む量の多い順にあげてみましょう。
まずEPAについては、さんま、あんこうの肝、まいわし、ぶり、うなぎ、いさき、こい、さば、かつお、きんめだいの順になります。
DHAについては、さんま、あんこうの肝、きんめだい、ぶり、いさき、かつお、かんぱち、こい、うなぎ、まいわし、さば、さわら、あじ、すずきの順です。
いずれにも、日本人の好きなまぐろが入っていません。私もまぐろが好きなので、すぐ気づきました。しかし、まぐろにもEPA、DHAがそれなりには含まれていますからご心配なく。