うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた”なっちゃん流教育論”をお届けします。
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子どもを勉強嫌いにさせないためには、「勉強しなさい」と言わないこと、と以前書きました。「自分のことは自分で決めたい」という人間の本能、「心理的リアクタンス」が働くためです。親が「勉強しなさい」と言った途端、子どもが「今勉強しようと思っていたのに、お母さんに言われたせいでやる気がなくなった」と言う話は、頻繁に耳にします。でも、これは決して子どもがうそをついているわけではなく、心理学的に考えれば当然の言葉なのです。
私が子どもの頃は、あまり親から「勉強しなさい」とは言われませんでした。しかし、奇麗好きの母から「部屋の掃除をしなさい」は何度も言われたため、掃除イコール嫌なもの、という意識が染みついてしまったのです。おかげで今でも掃除が嫌いなままで、ひたすらルンバに働いてもらっています。
■「勉強しなければ」という強制観念
しかし、家で「勉強しなさい」と言わないように気をつけても、子どもが大きくなってくれば家とは別の世界「学校」が出現します。私は、ここが曲者だと思っています。幼稚園や保育園は、集団に交ざり友達と遊ぶ場所、という楽しい印象があります。しかし、小学校にあがると、途端に「勉強するための場所」というイメージに変貌します。その場所に行くだけで自然と「勉強しなくてはいけない」と強制される気持ちになってしまうのです。
さらに、小学校の教科書の問題は「いくつになるかな?」「選びましょう」と答えを聞いてくるのに、中学に上がると、なぜか突然「解を求めよ」と偉そうに上から目線で「やりなさい」と強制する言い方になります。変わるのです。それが余計に、子どものリアクタンスを刺激している気がするのですが……文部科学省にはもう少しうまい表現を探してもらいたいですね。