湘南は国立難関大学についても好調だ。今年は東大に25人が合格し、一橋は東京学芸大附(東京)と並んで20人と現時点でトップ。日比谷と同じく公立の復活モデルとして注目されている。
ほかにも公立では、国立(東京)や横浜翠嵐(神奈川)、白鴎(東京)や川和(神奈川)、新宿(東京)などが早慶合格者を伸ばしている。
大学通信の安田賢治常務は公立復活の傾向が見えるという。
「学区の廃止などで、優秀な生徒を集めやすくなった。2008年にリーマン・ショックが起きて以降、学費の問題で私立よりも公立に進む流れも出ている。伝統校はこれからも伸びるでしょう」
慶應の増加数1位は51人増えた私立の昭和学院秀英(千葉)。1983年設立の比較的新しい中高一貫校だ。図書館での自習など生徒の自主性を尊重し、きめ細かい進路指導をしている。鈴木政男校長によると、進学に特化した特進コースや習熟度別クラスは設けておらず、難関大学突破に向けた詰め込み教育もしていないという。
「生徒には可能性は無限にあり夢を大きく持つよう呼びかけている。進路指導でも、私立だけではなく国公立も目指すように励ましている」
同じように生徒の能力を引き出す教育で勢いがある私立の中高一貫校は、本郷(東京)や大宮開成(埼玉)、広尾学園(東京)や鎌倉学園(神奈川)、鴎友学園女子(東京)など複数ある。
早慶の合格者が増えた高校は、すべて東京と近隣の地域に含まれている。大学通信の安田常務は「首都圏は全国のなかでも地元志向が強く、早慶に進みたい生徒が多い。私大の定員厳格化もあって難易度は高止まりし、首都圏の高校間の競争も激しくなりそうです」と指摘する。
早慶ともに地方の優秀な生徒を増やそうとはしているが、有効策は見えていない。早慶のランキングの上位に地方の高校が入るのは、難しそうだ。(本誌・多田敏男)
※週刊朝日 2018年3月30日号