マンホールを器用に開けてするっと潜り、大きなシッポもきれいにしまい込む。最後はフタまできっちりと閉める――。
長野市にある茶臼山動物園のアライグマ、カール(8歳)のそんな姿が“かわいすぎる”と人気だ。
フタは重さ4キロほど。体重6~10キロのアライグマにとって、開ける作業は楽でないはず。でも、フタの取っ手を前脚の爪で引っかけて持ち上げ、隙間をつくる。タヌキやキツネにはまねできないワザだ。
なぜマンホールに入るのか。アライグマは夜行性で、自然環境だと昼間は木の洞穴などに隠れている。深さ50センチのマンホールは居心地がよいのか、昼間はずっと中に隠れたまま。
健康チェックをする午後3~4時ごろ、飼育員がカールを外に出すためにマンホールを開ける。カールは外に出て姿を表すが、すぐに穴の中に戻ろうとする。そのときに見られるのが、マンホール開けの姿。この時間帯になると、平日でも十数人の見物客が集まってくるという。
カールは人間の年齢だと40歳ほど、2009年、軽井沢町で保護されたことから、そう名付けられた。副園長によると、カールのマンホール開けには“師匠”がいたようだ。カールと一緒に保護された姉のイザベル。昨年3月に死亡したが、その姿をカールがまねて受け継いでいるようだ。
ネット上でマンホール開けの動画が投稿されると、SNSなどで広がって人気に火が付いた。「もっと多くの人にご来場頂けることを期待しています」と副園長。
ちなみに、茶臼山動物園は、レッサーパンダの飼育頭数が16頭と日本一。二本足で立つレッサーパンダ風太(千葉市動物公園)の妻、チィチィも茶臼山動物園出身という。(本誌・山内リカ)
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