地元では「ニコタマ」の愛称で呼ばれる地で、東急が開発した商業施設などの複合ビル「二子玉川ライズ」が15年に全館オープン。ビル内には、IT企業の楽天が15年に本社を移転している。
大企業の本社移転は、駅の盛衰に少なからず影響する。全駅のうち95%の駅で乗降客が前年より増えた東京メトロ。数少ない減少駅の一つが東西線の竹橋で、前年比1.2%減った。駅近くに本社を構えていた商社の丸紅が昨夏、ビル建て替えのために東京・日本橋へと本社を移している。
銀座線の虎ノ門も同様に2.7%減。メトロのなかで最も減少率が高かった。駅周辺で大規模なオフィスビルの開発が進んでおり、東京メトロは「企業が一時的にオフィスを移転させたことが一因」とみる。
メトロで最も大きく伸びたのは永田町で、前年比8.1%増。旧赤坂プリンスホテル跡地に建設された「東京ガーデンテラス紀尾井町」が、昨夏に全面開業した影響とみられる。駅直結の便利な複合施設で、オフィスや飲食店などに行く人が増えたようだ。
次いで、伸び率が高かったのが水天宮前で、6.5%増。東京メトロは「駅周辺のオフィスビルに企業が移転してきた」と増加の要因を分析する。大型移転となったのは、吉野家ホールディングス。15年末から16年初めにかけて、子会社含めて10社を移した。
また、東京メトロ以上に堅調だったのが、東京都営地下鉄。全106駅のうち、六本木以外はすべて乗降客が前年より増えた。
首都圏の駅と交通は、今後も大きく変わる。2020年の東京五輪開催に合わせ、虎ノ門に日比谷線の新駅ができ、駅前から五輪会場へのバスを走らせる計画がある。同じ時期には、JR品川-田町間にも新駅が開業する。また、海老名と横浜を結ぶ相鉄線は、JRや東急との相互乗り入れを予定しており、新宿や渋谷に乗り換えなしで行けるようになる。
※週刊朝日 2017年8月18-25日号